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ウォーミングアップを見よう!

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いよいよ今夜から準々決勝が始まる。

今回のNHKなどのテレビ番組では、アメリカの放送局とは異なり、試合直前のウォーミングアップシーンが映ることがある。ほんのわずかの時間だが、試合前の直前情報として、今選手達はこんなことをやっています、というような感じでウォーミングアップ中の各国の選手の状況が見られる。

もしテレビでこれを目にできるのであれば、ぜひこの”ウォーミングアップ”シーンを見て、どの国はどんなことをしてウォーミングアップしているかを覚えてほしい。

今回、私は日本代表のアップシーンを見て、非常に驚いた。というのは、日本代表のウォーミングアップは全員がフィールドに散らばって”各人各様”にてんでばらばらに行っていたからだ。

ずっと以前(1年以上前)に、私は「”第31回西日本高校サッカーフェスティバル” 」にこう書いていた。

『(い)もう一つは、これはサッカーの大会をその場で見ない限り絶対に得られないものである。だから、私は本当のサッカーを知りたいのであれば、会場へ出向き、試合前のウォーミングアップ(簡単に”アップ”という)から見ることを勧める。』

『サッカーのうまいチームや強いチームは、やはりアップの時から実にユニークな練習を行う。一方、弱いチームは統率が取れず、試合前に何をやっていいのかも分からない。時にジャージーやユニフォームもバラバラとなる。そしてこれが試合にもろに出る、のである。実際、これほど見事なまでに結果に反映するものはないと私は考えている。

だから、サッカーを本当に知るものは、試合前の相手チームの動きに特に神経を尖らせるのである。おそらくこんなことは素人のあなた方は知る由もない。しかし、これが監督やコーチの”目”であり、”見方”なのである。』

『だから、私は自分のチームの選手に良くこう言うのである。
”サッカーの試合はすでに試合前のアップから始まっている。”』

『こういう私の観点から今回参加したいくつかのチームを観察すると、やはりそこに各チームの”個性”が見事なまでに出ているのである。”声のかけ方”、”号令の仕方”、”コーチや監督に対する態度”、”チームの隊列の取り方”、”パス練習のメニュー”、”アップに要する時間”、”集合と声がかかって集まるまでの時間”、”ストレッチの方法”などなど、すべてにおいてチームによって違っているのである。

もちろん、これと同じことはワールドカップに出る国ごとにも言えるのである。ブラジル式、イギリス式、フランス式、ドイツ式、アルゼンチン式など、各国ごとにアップの仕方が異なる。

これぞサッカーの醍醐味であり、臨場感であるといえるだろう。これこそサッカーの本当の面白さである。いや、ほんとサッカーは奥の深いスポーツだネ。』


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このように、サッカーチームのアップ法は各チームによって異なる。しかし、強豪チームほどこのアップシーンが、スピーディーで隊列が取れて”かっこ良い”のである。

私は試合前のドイツ、イタリア、アルゼンチンなどことある度に注意して見ていたが、私が上に書いた事は全くの事実であった。ドイツ、イタリア、アルゼンチンなどの強豪国のアップ法は非常に素晴らしく、一瞬の無駄もなく行われていた。

ところが、日本代表は、日本語で言う”三々五々”、仲の良い2、3人適当に集まって適当にアップしていたのである。私はこれはいったいどうなっているのか、と本当に驚いたのだ。これこそ、”弱小チーム特有のスタイル”だからである。

一般に”弱小チーム”というのは、監督と選手の間に溝が合ったり、お互いに不信感があったり、選手間に意思疎通が希薄であったりする。その結果として、アップも勝手気ままで、メニューも時間も何もかもがバラバラになるというが普通なのである。監督の指揮はまったく効かず、仲の良い仲間どうしで適当にやるのである。

私が指導する前の阿南高専サッカー部がそうで、試合前のいつ集まるかということすら徹底されていなかったために、中には試合5分前になってやっと会場に来る者までいた。それを試合1時間前に集合、それから50分かけて徐々にアップからパス回し練習まで行って試合10分前にはいつでも試合ができるようにするという方法に変えたのである。こういうことができるようになると、不思議と試合でも好成績を残せるようになったのである。

この観点からすれば、ジーコジャパンは”論外”であった。ド素人レベルのアップ法だったからである。これではゲームに勝てるはずがない。なぜなら、各人各様にアップしているのだから、ある選手は身体が暖まっていつでもOKの状態にあったとしても、別の選手はまだ中途半端な暖まり方で試合最初に非常に動きが悪いという事になるからだ。こんなことまでジーコは”手を抜いていた”のである。これで強豪国に勝てるはずがない。

私の心配どうりにジーコジャパンは敗退した。当然の結果である。サッカーでは、”心掛けの悪いチームは敗退する”からだ。この意味でも、ジーコはド素人だった。

ぜひアップシーンを見てほしい。
by Kazumoto_Iguchi | 2006-06-30 21:21 | WC2006
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